小数のわり算では、わる数が整数になるまで小数点を右に動かし、わられる数の小数点も同じだけ右に動かして計算します。
例えば、0.6 ÷ 0.8 なら、0.8を整数にするために両方を10倍して、
6 ÷ 8 = 0.75 と計算できます。
学校の問題では、この小数点を同じだけ動かすという手順を使えば答えを出せます。
でも、ここで一つ疑問が残ります。
なぜ、わられる数とわる数の両方を10倍しても、答えは変わらないのでしょうか?
この理由が分かると、小数点の位置をただ暗記するのではなく、わり算そのものの意味が少し見えてきます。
小数のわり算はわる数を整数にする
まず、学校のテストで使う基本の計算方法を確認します。
例えば、6.4 ÷ 0.8 を計算するとします。
最初に見るのは、わる数の0.8です。
0.8を整数にするには、小数点を右へ1けた動かします。
このとき、わられる数の6.4も同じように右へ1けた動かします。
6.4 ÷ 0.8
↓ 両方10倍
64 ÷ 8 = 8
したがって答えは8です。
筆算するときも、基本は同じです。
- わる数を見る
- わる数が整数になるまで小数点を動かす
- わられる数も同じだけ動かす
- 整数のわり算と同じように計算する
ここまでが計算のやり方です。
では、なぜ両方を10倍してもよいのでしょうか。
なぜ両方10倍しても答えが変わらないの?
ここでは、ピザを家族で分ける場面から考えてみます。
説明のため、Sサイズのピザ1枚を800gとします。
800gのピザを家族4人で同じ量ずつ分けると、800 ÷ 4 = 200 なので、1人分は200gです。
では、同じピザを2枚用意したらどうなるでしょう。
全部で1600gなので、
1600 ÷ 4 = 400
1人分は400gになります。
実際に食べられる量は、200gから400gへ2倍になりました。
ところが、「1人分はピザ全体のどれくらいか」を見ると違います。
200 ÷ 800 = 0.25
2枚のときも、
400 ÷ 1600 = 0.25

どちらも、1人分は全体の0.25(25%・4分の1)です。
ピザの量は2倍になっています。
それでも、1人分と全体の関係は変わっていません。
2つの量を同じ倍率で大きくしても、「一方がもう一方の何倍か」という関係は変わらない。
これが、小数のわり算で使っている大切な性質です。
わり算は『実際の量』と『量の関係』の両方に使われる
わり算が少し難しく感じる理由の一つは、同じ「÷」でも、問題によって見ているものが違うことです。
先ほどのピザなら、800g ÷ 4人 = 200g/人 は、1人あたりの実際の量を求めています。
一方、200g ÷ 800g = 0.25 は、200gが800gの何倍にあたるかという関係を求めています。
さらに、800g ÷ 200g = 4 なら、「200gが800gの中に何個分あるか」と見ることもできます。
つまり、わり算は単に数を小さくする計算ではありません。
「1あたりはいくつ?」「何個分ある?」「何倍にあたる?」など、2つの量の関係を見るためにも使う計算です。
四則演算で両方を10倍するとどうなる?
ここで少しだけ、たし算・ひき算・かけ算・わり算を比べてみます。
| 計算 | もとの式 | 2つの数を10倍 | 答え |
|---|---|---|---|
| たし算 | 2+3=5 | 20+30=50 | 10倍 |
| ひき算 | 5-2=3 | 50-20=30 | 10倍 |
| かけ算 | 2×3=6 | 20×30=600 | 100倍 |
| わり算 | 6÷3=2 | 60÷30=2 | 変わらない |
同じように2つの数を10倍しても、答えの変わり方は同じではありません。
わり算では、わられる数とわる数を同じ倍率で変えると、商は変わりません。
これは小学4年生で学ぶ除法の性質の一つで、小学5年生の小数のわり算では、その性質を利用して計算します。
文部科学省の学習指導要領でも、わられる数とわる数に同じ数をかけても、同じ数で割っても商は変わらないという性質を扱うことが示されています。
だから小数点を両方同じだけ動かせる
ここまで分かれば、最初の疑問に戻れます。
0.6 ÷ 0.8 で両方を10倍すると、6 ÷ 8 になります。
0.6も0.8も同じ10倍になったので、「0.6は0.8の何倍か」という関係は変わりません。
だから、0.6 ÷ 0.8 = 6 ÷ 8 = 0.75 となります。
「小数点を動かす」というより、実際には、
わる数を整数にして計算しやすくするために、わられる数とわる数を同じ倍率で変えている
と考えると分かりやすくなります。
小数点を2けた動かす問題
例えば、3.6 ÷ 0.04 なら、わる数の0.04を整数にするには小数点を右へ2けた動かします。
わられる数の3.6も同じだけ右へ2けた動かします。
3.6 ÷ 0.04
= 360 ÷ 4
= 90
「何けた動かすか」は、わる数を見て決めるのがポイントです。
数字が足りなければ「0」を補う
例えば、0.6 ÷ 0.08 では、0.08を整数にするために小数点を2けた動かします。
0.6は0.60と考えることができます。
したがって、
0.60 ÷ 0.08
= 60 ÷ 8
= 7.5
小数の右側には、必要に応じて0を書き足しても数の大きさは変わりません。
計算する前に、答えの大きさを予想しよう
小数のわり算では、小数点の位置を間違えると答えが10倍、100倍と大きくずれることがあります。
そこで、計算する前に答えのおおよその大きさを考えておくと、ミスに気付きやすくなります。
例えば、6.4 ÷ 0.8 では、0.8は1より小さい数です。
「6.4の中に0.8が何個分あるか」と考えると、6.4より大きな数になりそうだと予想できます。
実際の答えは8です。
もし0.8など、6.4より小さい答えが出たら、計算を見直すきっかけになります。
わり算をすると必ず答えが小さくなるとは限りません。
あまりがあるときは、小数点の位置に注意
小数のわり算では、あまりを求める問題もあります。
例えば、7.2 ÷ 0.5 を整数部分まで求めると、14 あまり 0.2 です。
あまりは、計算のために小数点を動かした後の数ではなく、もとのわられる数の単位に戻して考える必要があります。
確かめると、0.5 × 14 + 0.2 = 7.2 となります。
学校のテストで間違えやすいポイント
- わる数ではなく、わられる数を見て小数点を動かしてしまう
- 片方の小数点だけを動かす
- 動かすけた数が違う
- 数字が足りないときに0を書き足せない
- 「わり算だから答えは小さくなる」と思い込む
- あまりの小数点を、計算途中の位置のまま答えてしまう
間違えたときは、「小数のわり算が分からない」とまとめてしまわず、どの段階で間違えたのかを確認すると復習しやすくなります。
練習問題
問題1
4.8 ÷ 0.6 を計算しましょう。
問題2
2.4 ÷ 0.03 を計算しましょう。
問題3
0.7 ÷ 0.2 を計算しましょう。
問題4
0.6 ÷ 0.08 を計算しましょう。
問題5
0.4 ÷ 0.8 の答えは、0.4より大きくなるでしょうか、小さくなるでしょうか。計算する前に予想してから求めましょう。
答え
問題1
4.8 ÷ 0.6 = 48 ÷ 6 = 8
問題2
2.4 ÷ 0.03 = 240 ÷ 3 = 80
問題3
0.7 ÷ 0.2 = 7 ÷ 2 = 3.5
問題4
0.6 ÷ 0.08 = 60 ÷ 8 = 7.5
問題5
0.8は1より小さいので、0.4÷0.8の答えは0.4より大きくなります。
0.4 ÷ 0.8 = 4 ÷ 8 = 0.5
小数のわり算は、この先の算数でも使う
小数のわり算は、この単元のテストが終わったら使わなくなる計算ではありません。
例えば、割合ではくらべる量 ÷ もとにする量、単位量あたりでは1あたりの大きさを求めるときに、わり算を使います。
速さでも、道のりと時間の関係を考えるためにわり算が登場します。
つまり、小数のわり算で大切なのは、筆算だけではありません。
「どの2つの量を比べているのか」「何を1あたりとして求めているのか」を見ることが、この先の文章題にもつながっていきます。
速さの文章題の解き方|みはじ・単位変換・時間管理を生活例で解説
動画でも小数のわり算を確認できます
動画では、小数点を動かす基本的な計算方法を確認できます。この記事では、その手順に加えて「なぜ小数点を同じだけ動かしてよいのか」まで掘り下げました。
まとめ|小数点を動かす理由まで分かれば忘れにくい
小数のわり算では、わる数を整数にするために、わられる数とわる数の小数点を同じだけ右へ動かします。
これは単なる筆算のルールではありません。
わられる数とわる数を同じ倍率で変えても、2つの量の関係は変わらず、商も変わらないというわり算の性質を使っています。
計算するときは、
- わる数を見る
- 整数になるまで小数点を動かす
- わられる数も同じだけ動かす
- 答えの大きさも確認する
という順番を意識してみてください。
「小数点をどっちに何個動かすんだっけ?」と覚えるだけでなく、なぜそうしてよいのかまで分かると、割合や速さなど、この先の算数でも使いやすくなります。



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