地球をぐるっと一周すると、どのくらいの長さになると思いますか?
答えは、およそ4万kmです。
でも、ちょっと不思議です。
地球のまわりに巨大なメジャーを巻かなくても、一周の長さを考えることができます。
そこで登場するのが、算数でおなじみの数字。
3.14
そう、円周率です。
でも、そもそも3.14とは何なのでしょう?
誰かが「円の計算には3.14を使おう」と決めた数字なのでしょうか。
今回は公式を覚える前に、地球からコインまで、いろいろな大きさの円を使って3.14の正体を探してみましょう。
地球一周をどうやって測る?

地球を赤道のところで輪切りにした断面を、ひとまず大きな円のような形だと考えてみます。
中心を通って、端から端までまっすぐ引いた長さが直径です。
地球の赤道付近の直径は、およそ12,756kmあります。
では、赤道をぐるっと一周する長さは?
およそ4万kmです。
ここで、地球一周をひものように地球から外して、まっすぐ伸ばせたと想像してみましょう。
その横に、地球の直径を何本も並べます。
直径1本分。
2本分。
3本分。
……まだ少し足りません。
3本より少し長く、4本よりは短い。
その長さをもっと細かく調べると、約3.14本分になります。
つまり、赤道一周の長さ ≒ 赤道付近の直径 × 3.14 と考えることができるのです。
※地球は完全な球ではないので、ここでは小学生の算数として地球をおおよその円として考えています。
でも、地球だから3.14になるの?
ここで疑問です。
地球みたいに大きな円だから、3.14になるのでしょうか?
今度は、もっと小さな円で確かめてみましょう。
家の中にある丸いものを探してみてください。
- 100円玉
- 缶
- コップ
- お皿
- テープの芯
大きさが全然違うものを選ぶと、より面白くなります。
やってみよう|円のまわりに直径は何本入る?
用意するものは、丸いもの、定規、ひもです。
- 円の中心を通るようにして、直径を測ります。
- ひもを円のふちに一周させます。
- 一周したところでひもに印をつけます。
- ひもをまっすぐ伸ばします。
- その長さの中に「直径」が何本分入るか比べます。
ぴったり3本ではありません。
4本でもありません。
どの円でも、だいたい3本と少しになります。
もっと正確に測ると、その「少し」が約0.14本分。
だから、円周は直径の約3.14倍 なのです。
さわってわかるアクティビティ
コインでも お皿でも 時計でも 地球でも、
円周には直径が3本とちょっと入ります。
今見ているもの
コイン
例の直径
2.5 cm
だいたいの円周
7.85 cm
見えてくること
- 円周は、直径1本ぶんでは足りません。
- 2本入れても、まだ足りません。
- 3本入れると、かなり近いですが、少しだけ残ります。
- だから 円周 ÷ 直径 ≒ 3.14 になります。
大きさが違っても『3.14』は変わらない
ここが円周率の一番面白いところです。
コインは小さい。お皿はもう少し大きい。
地球は、とてつもなく大きい。
円が大きくなれば、直径も長くなります。
円周も長くなります。
でも、「円周は直径の何倍?」という関係だけは、いつも同じ。
その共通する数字が、
3.1415926535…… と続く円周率です。
小学5年生の算数では、この数を3.14として計算します。
円周率って結局何?
ここまでの体験を、算数の言葉にしてみましょう。
円周率とは、円周が直径の何倍になっているかを表す数 です。
だから、円周率 = 円周 ÷ 直径 となります。
最初にこの式だけを見ると、「どうして割るの?」と思うかもしれません。
でも実際にひもをほどいてみると、やっていることは単純です。
「円周の中に、直径が何本分入っている?」 を調べているだけなのです。
円周率は何に使うの?
円周率が分かると、丸いものの一周の長さを直接測らなくても求められます。
例えば直径10cmのお皿なら、
10×3.14=31.4cm
なので、ふち一周は約31.4cmだと分かります。
ほかにも、
- 自転車のタイヤが1回転すると何m進むか
- 丸い花壇を囲う柵が何m必要か
- 円形の柱にテープを一周巻くには何cm必要か
- パイプや缶のまわりの長さ
などを考えることができます。
まっすぐ測りやすい直径から、曲がっていて測りにくい円周を知る。
円周率は、その2つをつなぐ数字です。
算数では地球を円として考えた。でも現実は?

ここで少し、現実の世界に戻ってみます。
この記事では、地球を大きな円のように考えました。
でも、本物の地球は完全な球ではありません。
地球は自転しているため赤道付近が少しふくらみ、北極と南極の方向には少しつぶれた形をしています。
山もあれば、深い海もあります。
つまり現実には、教科書に描かれたような、完璧な円はほとんどありません。
では、円として考えるのは間違いなのでしょうか?
そうではありません。
知りたいことに必要な特徴だけを取り出して、考えやすい形にする。
これも数学の大切な使い方です。
地球一周のおおよその長さを考えたいなら、まず地球を円として考える。
もっと正確な測量をしたいなら、地球の本当の形を考える。
目的によって、使う考え方を変えるのです。
ちょっと寄り道|丸い地球を平らな世界地図にできる?

地球の形を考えると、もう1つ面白い問題があります。
丸い地球の表面を、そのまま平らな紙に広げることはできるのでしょうか?
実は、形・面積・距離・角度などをすべてそのまま保って平らにすることはできません。
そのため世界地図には、目的に合わせていろいろな「図法」があります。
よく知られているメルカトル図法は、角度を正しく表しやすいため、航海などで大きな役割を果たしてきました。
一方で、高緯度にある土地ほど実際より大きく見えるという特徴があります。
例えば世界地図では、アフリカなど赤道に近い地域と、北の地域の大きさの印象が実際とはかなり違って見えることがあります。
そこで注目されているのが、土地の面積の割合を正しく表すことを重視した「正積図法」です。
その1つが、2018年に発表されたイコールアース図法(Equal Earth)です。
2026年9月4日には、国連総会でも、世界の大陸の大きさをより正確に伝える地図表現を広げていくための決議が採択されました。
この決議に法的な強制力はありませんが、教育や公的機関などで、面積をより正しく表す世界地図の利用を広げていくことを後押しする内容です。
ただし、これは「メルカトル図法は間違いだから使ってはいけない」という話ではありません。
航海には角度が大切。大陸の大きさを比べるなら面積が大切。
何を知りたいのかによって、使いやすい地図は変わります。
円周率で地球を円として考えたのと同じように、現実の世界を数学で考えるときには、目的に合った見方を選ぶことが大切なのです。
もっと知りたい人はこちら
奈良大学 地理学科|国連の「地図の訂正に関する決議」とイコールアース図法
練習問題|3.14の意味を使って考えよう
問題1
直径20cmの丸いお皿があります。ふち一周の長さは約何cmでしょう?
問題2
直径50cmのタイヤが1回転しました。約何cm進むでしょう?
問題3
円周が31.4cm、直径が10cmの円があります。円周÷直径をするといくつになりますか?
問題4
大きな円と小さな円では、円周率も変わるでしょうか?理由も説明してみましょう。
答え
問題1:62.8cm
20×3.14=62.8です。
問題2:157cm
50×3.14=157です。
問題3:3.14
31.4÷10=3.14です。
問題4:変わりません。
円が大きくなると直径も円周も同じ割合で大きくなるため、「円周は直径の何倍か」という関係は同じです。
ここから少しだけ先へ|3.14は丸いものだけの数字じゃない?
円周率は、円周や円の面積を求めるだけの数字に見えます。
でも、この先の数学や科学では、円周率は回転・波・振動・音などを考えるときにも登場します。
円をぐるぐる回る動きを横から見ると、上下にくり返す波のような動きになります。
そのため「一周する」「同じ動きをくり返す」という世界にも、円の数学がつながっていくのです。
今は詳しい式を覚える必要はありません。
地球やコインを測って見つけた3.14が、音や電気の世界にも登場する。
そんなつながりがあることだけ、少し覚えておいてください。
まとめ|小さな3.14で、大きな世界まで考えられる
- 円周率は「円周が直径の何倍か」を表す数
- 円周には直径が約3.14本分入る
- コインでもお皿でも地球でも、この関係は変わらない
- 円周は「直径×3.14」で求められる
- 円周率を使えば、直接測りにくい丸いものの一周も計算できる
- 現実を数学で考えるときは、目的に合わせて形をシンプルにすることもある
3.14は、ただ暗記するための数字ではありません。
コインのような小さな円から、地球のような大きなものまで、同じルールで考えることができます。
算数が分かると、目の前のものだけでなく、ずっと大きな世界まで考えられる。
次に丸いものを見つけたら、「この一周にも直径が約3.14本入るんだ」と思い出してみてください。
▼ 正多角形と円の関係から見てみよう
円の中に正多角形を描き、辺を増やしていくとどうなる?時計を使って円と図形のつながりを体験できます。
▼ 小学5年生の算数をまとめて確認



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