正多角形と円には、どんな関係があるのでしょう?
時計を見てみてください。
1から12までの数字が、円のまわりにほぼ同じ間隔で並んでいます。
では、ここでちょっと遊んでみましょう。
- 12・4・8を結んだら?
- 12・3・6・9を結んだら?
- 12・2・4・6・8・10を結んだら?
実際に線で結んでみると、正三角形・正方形・正六角形が現れます。
どうして時計の中から、こんなにきれいな図形が出てくるのでしょう?
今回は公式を先に覚えるのではなく、時計を使って「円と正多角形がどうつながっているのか」を確かめてみます。
まず時計で遊ぼう|数字を結ぶと何ができる?
下の時計で、3点・4点・6点・12点を順番に選んでみてください。
数字を飛ばして結ぶと、どんな形が出てくるかな?
結ぶ場所を変えるだけで違う正多角形が現れます。
正三角形も正方形も正六角形も、最初から時計の中に隠れていました。
正多角形と円はどうつながっている?
時計の数字を等間隔で結ぶと、正三角形や正方形、正六角形が現れました。
この秘密は「円を同じ大きさの中心角に分けていること」にあります。
時計は円を12個に等しく分けたもの

円を一周すると360°です。
時計には、1から12までの数字が同じ間隔で並んでいます。
つまり、円一周の360°を12個に等しく分けていると考えられます。
ここで、時計の中心から12時の位置と1時の位置に向かって線を引いてみましょう。
この2本の線にはさまれた角を中心角といいます。
360÷12=30° なので、時計の数字1つ分、つまり1時間分の中心角は30°です。
では、12時から2時まではどうでしょう。
12時→1時→2時と、30°の間隔が2つあるので、30×2=60° になります。
同じように考えると、
- 12時→1時:30° × 1 = 30°
- 12時→2時:30° × 2 = 60°
- 12時→3時:30° × 3 = 90°
- 12時→4時:30° × 4 = 120°
となります。
つまり、中心角とは、円の中心から2つの場所へ線を引いたとき、その2本の線にはさまれた角度です。
そして、正多角形を作るときは、円を同じ大きさの中心角に分けます。
たとえば、正六角形なら6等分するので、360÷6=60° 。
正方形なら4等分するので、360÷4=90° です。
だから、中心角=360°÷辺の数 となります。
正多角形では、辺の数と頂点の数は同じです。
つまりこの式は、円一周360°を、正多角形の頂点の数だけ同じ大きさに分けているという意味なのです。
12・2・4・6・8・10を結ぶと、なぜ正六角形?

では、「1時間分の中心角は30°」ということを使って、時計の中から正六角形を見つけてみましょう。
時計の文字盤を、2時間分ずつ進みます。
12時 → 2時 → 4時 → 6時 → 8時 → 10時 → 12時
1時間分の中心角は30°なので、2時間分なら、30°×2=60° です。
つまり、12時から2時、2時から4時、4時から6時……と進むたびに、中心では毎回60°ずつ進んでいることになります。
そして、60°×6=360° なので、6回進むとちょうど一周して12時に戻ってきます。
ここで、時計の中心から6つの場所へ線を引いてみましょう。
すると円の中が、中心角60°の同じ形の三角形6個に分かれます。
6つの点は円周上に同じ間隔で並んでいるので、隣り合う点どうしを結んだ長さもすべて同じになります。
つまり、できた六角形の6本の辺はすべて同じ長さです。
さらに、中にできた6個の三角形はすべて同じ形なので、六角形の6つの角も同じ大きさになります。
辺の長さがすべて同じ。
角の大きさもすべて同じ。
だから、時計の 12・2・4・6・8・10 を順番に結ぶと、ただの六角形ではなく、正六角形になるのです。
ちょっと寄り道|なぜ時計は12時間、1時間は60分なの?
ここまで来ると、こんな疑問も出てきます。
「そもそも、なんで時計は10ではなく12なの?」
「どうして1時間は100分ではなく60分なの?」
これは正六角形が60°だから決まった、という単純な話ではありません。
時計の数え方には、何千年も前の人たちが使っていた数の考え方が残っています。
古代エジプトでは、昼と夜をそれぞれ12の時間に分ける考え方が使われていました。
一方、古代メソポタミアでは60を基本に数える「60進法」が発達しました。
60という数はとても便利です。
- 2人なら30ずつ
- 3人なら20ずつ
- 4人なら15ずつ
- 5人なら12ずつ
- 6人なら10ずつ
いろいろな人数で、きれいに分けられます。
その60進法は天文学などにも使われ、現在の60分・60秒や角度を細かく分ける方法にも受け継がれていきました。
円が360°で表されることにも、古代バビロニア系の60進法の影響があると考えられています。
つまり、時計の「60」と角度の「360」は、まったく別々に生まれた数字というわけではありません。
時間と角度には、昔の人たちが「どう数え、どう分けたか」という歴史が残っているのです。
※時間の区切り方や60進法の歴史については、NIST(米国国立標準技術研究所)やMacTutor History of Mathematicsでも詳しく紹介されています。
NIST|なぜ1時間は60分、1分は60秒なのか
時間の区切り方の歴史を見てみる(英語)
MacTutor|古代バビロニアの数学と60進法
バビロニア数学と60進法について見てみる(英語)
正方形や正三角形も時計から作れる
正六角形だけではありません。
正方形
12時 → 3時 → 6時 → 9時 → 12時
3時間ずつ進むので、30×3=90° です。
90°ずつ4回で一周します。
正三角形
12時 → 4時 → 8時 → 12時
4時間ずつ進むので、30×4=120° です。
120°ずつ3回で一周します。
つまり、正多角形は別々の公式で作られているわけではありません。
円を同じ角度ずつ分け、その点を結んでいるという共通のしくみがあります。
内角はどこにある?正六角形を見てみよう
正六角形の中には正三角形が6個かくれていることが分かりました。
正三角形の角は、どれも60°です。
では、正六角形の角を1つだけ見てみましょう。
その角には、となり合う2つの正三角形の角が集まっています。
60°+60°=120°
だから、正六角形の1つの内角は120°です。
ここで大切なのは、公式を覚えることではありません。
正六角形の中に線を引いてみると、「この角は60°が2つ合わさってできているんだ」と、内角が目で見えるようになります。
正方形でもやってみよう
時計の 12時 → 3時 → 6時 → 9時 を結ぶと正方形になりました。
中心角は、360÷4=90° です。
中心から頂点へ線を引くと、正方形の中に同じ形の三角形が4個できます。
その三角形の残り2つの角は同じ大きさなので、(180-90)÷2=45° です。
正方形の1つの角には、この45°が2つ集まります。
45°+45°=90°
だから、正方形の内角は90°です。
正六角形でも正方形でも、同じことが起きています。
中心から線を引く
→ 三角形ができる
→ となり合う2つの角を合わせる
→ 正多角形の内角になる
という流れです。
慣れてきたら、こんな見方もできる
ここまで分かったら、最後に少しだけ近道を見てみましょう。
正六角形では、中心角60° → 内角120°
正方形では、中心角90° → 内角90°
どちらも、中心角+内角=180° になっています。
そのため正多角形では、内角=180°-中心角 と求めることもできます。
でも、最初からこの式を覚えなくても大丈夫です。
分からなくなったら、円の中心から線を引いて三角形を作るところまで戻れば、自分で考え直せます。
辺を増やすと円に近づいて見える
時計の12個すべてを順番に結ぶと、正十二角形になります。
正三角形や正方形と比べると、かなり丸く見えます。
では24角形なら? 100角形なら? 1000角形なら?
辺の数が増えるほど、1本1本の辺が短くなり、見た目は円に近づいていきます。
ただし、多角形と円はまったく同じものではありません。
それでも「細かく分けて、だんだん円に近づける」という考え方は、この先の数学でも使われます。
ここから少しだけ先へ|円そのものにはどんな数字が隠れている?
時計から正多角形を見つけ、辺を増やすと円に近づいていきました。
では今度は、多角形ではなく円そのものに目を向けてみましょう。
大きな円でも、小さな円でも、円周の長さを直径で割ると、なぜかほぼ同じ数字になります。
3.14…
そう、円周率です。
でも、どうして円の大きさが変わっても、同じような数字が出てくるのでしょう?
これは、教科書で「円周率は3.14」と覚えるだけでは少しもったいないところです。
コップ、缶、皿など、身の回りにある丸いものの直径と円周を実際に測って比べてみると、3.14という数字がどこから出てくるのかを自分で確かめることができます。
正多角形から円へ。
そして今度は、円の中に隠れている「3.14」の正体へ。
そんなふうに疑問をつないでいくと、別々に見える算数の単元も少しずつつながって見えてきます。
まとめ|時計の中には図形と数学の歴史が隠れている
- 時計は円を12個に等しく分けた形として見ることができる
- 1時間分の中心角は30°
- 時計の数字を等間隔で結ぶと正多角形が現れる
- 12・2・4・6・8・10を結ぶと正六角形になる
- 正六角形の中には正三角形が6個隠れている
- 中心角は360°を辺の数だけ等しく分けたもの
- 12・60・360には、昔の数え方や天文学の歴史も関係している
「中心角=360÷辺の数」だけを暗記すると、忘れてしまうかもしれません。
でも時計を見て、実際に数字を線で結んだ経験があれば、「あ、円を同じ数に分ければいいんだ」と思い出せます。
公式を覚える前に、身近なものを触って、つないで、確かめてみる。
そうすると、教科書の中だけにあった図形が、毎日見ている時計の中にも見えてきます。
▼ 三角形の角度のしくみも、実際に確かめてみよう
正多角形の内角を考えるときにも使った「三角形の内角の和は180°」。
なぜ180°になるのか、紙を切ったり図形を動かしたりしながら確かめられます。
スリッパの法則とは?三角形を切ると180°がわかる!角度のしくみを体験しよう
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