| 45は、なぜ4+5=9を見るだけで3の倍数だと分かるのでしょうか? |
3の倍数は、各桁の数字を足せば見分けられます。
たとえば45なら、4+5=9。
9は3の倍数なので、45も3の倍数です。
便利な方法ですが、45÷3を計算しているわけではありません。
それなのに、なぜ4と5を足しただけで分かるのでしょう。
4の倍数は下2桁、8の倍数は下3桁、9の倍数は各桁を足す。
こうした倍数の見分け方は、突然生まれた裏技ではありません。
実は、10、100、1000という十進法のまとまりと、割る数との関係からできています。
今回は見分け方を丸暗記するのではなく、数字の中で何が起きているのかを、箱やカーテン、鍵に置き換えて見てみましょう。
数字そのものを計算しやすい形に変える考え方は、前編の「計算が速くなるコツ|数字はそのまま計算しなくていい」で紹介しています。
今回はその続きとして、「数字のどこを見ればいいのか」を考えていきます。
45は、なぜ4+5を見るだけでいい?

45を数字として見るのをやめて、積み木にしてみます。
45は、10個のまとまりが4本+1個の積み木が5個です。
ここで、全部の積み木を3個ずつ箱へ入れると考えてみましょう。
10個のまとまり1本は、
10=3+3+3+1
と分けられます。
3個入りの箱は3つ完成しますが、最後に1個だけ余ります。
つまり、10個のまとまり1本について、3で割れるかどうかを考えるときに最後まで気にする必要があるのは、余った1個だけです。
10個のまとまりが4本なら、余りは4個。
そこにもともとあった5個を加えます。
4+5=9
残った9個も3個ずつきれいに分けられるので、45は3の倍数です。
各桁を足すのは、3個ずつ分けたあとに残るものだけを集めているから。
237でも同じことができる?
今度は237で考えてみます。
237は、100が2個、10が3個、1が7個です。
まず100個のまとまりを見てみます。
100=99+1
99は3で割り切れるので、100個を3個ずつ分けたときに最後まで残るのは1個だけです。
100が2個なら、余りとして考えるのは2個。
10も9+1なので、10が3個なら余りは3個です。
最後の7個はそのまま残ります。
2+3+7=12
12は3の倍数なので、237も3の倍数です。
2+3+7という計算が突然出てきたわけではありません。
百の位、十の位、一の位にあった数字が、3で割ったときに最後まで残る数としてもう一度現れています。
9の倍数も同じ仕組み
9の倍数も、各桁を足すと見分けられます。
たとえば729なら、
7+2+9=18
18は9の倍数なので、729も9の倍数です。
これも3の場合とほとんど同じ仕組みです。
- 10=9+1
- 100=99+1
- 1000=999+1
10、100、1000を9で分けようとすると、どれも最後に1だけ余ります。
だから729なら、700から余る7、20から余る2、そのまま残る9を集めればよいわけです。
3と9で同じような方法が使えるのは偶然ではありません。
10、100、1000が、3や9で割ると1余るという特徴を使っています。
4の倍数は、なぜ下2桁だけ見ればいい?
今度は少し違う仕組みです。
12,348
この数が4の倍数か調べるときは、下2桁の48だけを見れば判断できます。
ここでは、数字の上にカーテンをかけるイメージで考えてみます。
12,348=12,300+48
12,300は、123×100です。
100は4で割り切れるので、100がいくつ集まっていても、その部分はすでに4の倍数です。
ならば12,300の部分は、もう調べなくてかまいません。
カーテンで隠してしまいます。
残るのは48。
48÷4=12
48は4で割り切れるので、12,348も4の倍数です。
4の倍数で下2桁を見るのは、100が4の倍数だから。

8の倍数は、なぜ下3桁を見る?
同じ考え方を8に使います。
125,432
8の場合は、下3桁の432を調べれば判断できます。
100は8で割ると余りが出ますが、1000は8でぴったり割り切れます。
1000÷8=125
125,432は、125,000+432です。
125,000は125×1000なので、すでに8の倍数です。
この部分を隠すと、残るのは432。
432÷8=54
432は8の倍数なので、125,432も8の倍数です。
4は100が使えるから下2桁。8は1000が使えるから下3桁。
見る桁数にも理由があります。
2・5・10は、一の位だけでなぜ分かる?
2、5、10の倍数は、一の位だけで判断できます。
ここでは、10個入りの箱を想像してみましょう。
たとえば347なら、10個入りの箱が34箱と、バラが7個です。
10個入りの箱は、2個ずつでも、5個ずつでも、10個ずつでもきれいに分けられます。
つまり、十の位以上の部分はすでに片付いています。
最後に調べる必要があるのは、一の位だけです。
- 2の倍数 → 一の位が0、2、4、6、8
- 5の倍数 → 一の位が0か5
- 10の倍数 → 一の位が0
一の位だけを見るのは、十の位以上を無視しているのではありません。
そこはもう割り切れると分かっているからです。
6の倍数には、2本の鍵が必要

6の倍数の見分け方は、少し変わります。
6=2×3
そこで6の倍数になるには、2で割り切れて、さらに3でも割り切れる必要があります。
ゲームの門を想像してみましょう。
6の門には、鍵穴が2つあります。
- 2の鍵
- 3の鍵
たとえば342。
一の位は2なので、2で割り切れます。
これで2の鍵が手に入ります。
次に各桁を足します。
3+4+2=9
9は3の倍数なので、342は3でも割り切れます。
これで3の鍵も手に入りました。
2本の鍵がそろったので、342は6の倍数です。
6だけ新しいルールを覚えるのではなく、2と3の見分け方を組み合わせている。
なぜ簡単な見分け方が作れるの?
ここまでのルールには、共通点があります。
- 2や5は、10と相性がいい
- 4は、100と相性がいい
- 8は、1000と相性がいい
- 3や9は、10、100、1000が1余ることを利用する
つまり倍数の見分け方は、割る数だけを見て作られたものではありません。
1、10、100、1000という十進法と、その数との相性を利用しています。
では、7はどうなのでしょう。
7の倍数は、数字を後ろから切り離す

7の倍数にも見分け方がありますが、3や4より少し手順が増えます。
3528が7の倍数か調べてみましょう。
まず、数字を後ろから切り離します。
352|8
右側の8を2倍します。
8×2=16
そして、残った352から16を引きます。
352-16=336
まだ大きいので、もう一度同じことをします。
33|6
6を2倍すると12。
33から12を引きます。
33-12=21
21は7の倍数なので、もとの3528も7の倍数です。
- 一の位を切り離す
- 切り離した数を2倍する
- 残りの数から引く
- 必要なら繰り返す
3や4ほど手軽ではありませんが、7にもこうした判定法があります。
小学生の計算で毎回使う必要はありません。
ただ、倍数判定にはこんな方法まであると知ると、数字を見る目が少し変わります。
11にも少し変わった見分け方がある
もうひとつだけ、11を見てみます。
121は11の倍数でしょうか。
11には、数字を交互に足したり引いたりする見分け方があります。
1-2+1=0
交互に足し引きした結果が0や11の倍数になれば、もとの数も11の倍数です。
121は11の倍数だと分かります。
これも10との関係が背景にあります。
10は11より1小さい数だからです。
3、4、7、11。
見分け方は違いますが、どれも10進法で書かれた数字と、割る数との関係を利用しています。
倍数のひみつを実際に動かしてみよう
ここまで分かったら、今度は自分で数字を動かしてみましょう。
今回は、答えを選ぶだけではありません。
箱に入れる、余りを取り出す、数字を隠す、鍵を集めるといった操作で、なぜその部分だけ見ればいいのかを確かめます。
TRY IT!
倍数のひみつ研究所
数字や道具を直接さわって確かめてみよう。
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CLEAR!
数字を見る4つの道具が集まりました
倍数判定はルールの暗記だけではありません。
数字のどこを見ればよいかを見つけるゲームでもあります。
倍数判定は「どこを見るか」を決めるゲーム
ここまでの見分け方を、やっていることごとに整理してみます。
- 2・5・10 → 10のまとまりは片付いているので、一の位を見る
- 3・9 → 箱詰めしたあとに残るものを集めるので、各桁を足す
- 4 → 100のまとまりを隠して、下2桁を見る
- 8 → 1000のまとまりを隠して、下3桁を見る
- 6 → 2と3の条件を両方確認する
- 7 → 一の位を切り離して、2倍した数を引く
それぞれ別の技に見えますが、共通していることがあります。
大きな数字を、そのまま相手にしない。
必要のない部分を隠す。
余りだけを見る。
もっと小さな数へ変える。
前の記事で数字を計算しやすい形へ変えたのと同じように、今回も数字を扱いやすい形へ変えています。
倍数そのものの意味や、約数・素数・公倍数とのつながりを整理したい場合は、約数・倍数・素数などを数の関係としてつなぐ記事もあわせて読むと理解しやすくなります。
見分け方を覚えるより、仕組みが分かると忘れにくい
倍数の見分け方だけをまとめると、次のようになります。
- 2 → 一の位
- 3 → 各桁の和
- 4 → 下2桁
- 5 → 一の位
- 6 → 2と3の両方
- 8 → 下3桁
- 9 → 各桁の和
- 10 → 一の位
これだけを覚えることもできます。
でも、4は下2桁だったか、下3桁だったか迷ったとき、100は4で割り切れると思い出せれば、自分でルールを作り直せます。
3や9でも同じです。
10を3や9で分けると1余る。だから各桁の数字を集めればいい。
理由が分かれば、忘れても戻ってこられます。
計算のコツは、たくさんの裏技を覚えることではありません。
どこまで無視できる?
何だけ残せばいい?
もっと小さくできる?
数字を見たときに、そんな問いを持てることが大切です。
前編では、数字を動かして計算しやすい形を作る考え方を見てきました。
今回は、数字の中から必要な部分だけを取り出しました。
数字をそのまま受け取らず、考えやすい形に変える。
この見方が身についてくると、この先の文章題や割合、場合の数でも、計算そのものに振り回されにくくなります。
▼ 小学5年生の算数をまとめて確認


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