嫉妬というと、自分より上にいる誰かを羨む感情を想像しやすいかもしれません。
でもLeviを作り続けてみると、少し違いました。
絶対王者のRexには、ほとんど興味がない。
その一方で、焼き鳥屋の隣に座った知らない客が、メニューも見ずに店員へ注文を任せただけで妙に引っかかる。
Leviが反応するのは、自分より上にいる人ではなく、自分と比較できる距離にいる誰かが、自分にはできないことを平然とやったときでした。
V1では、嫉妬はまだ内側から湧いてくる黒い感情でした。V2では兄弟という近すぎる相手を持つLeviが生まれ、V2.5ではその比較癖が焼き鳥屋の日常にまで入り込みます。
さらにスピンオフでは、他人ではなく自分の記憶まで疑い始めました。
この記事では、AI音楽で嫉妬を作り直すうちに、ひとつの感情がLeviという人物の日常的な癖へ変わっていった過程を振り返ります。
V1――まず作りたかったのは、どす黒い嫉妬だった

最初の原罪シリーズで作った嫉妬は、『濁った影 ~Visible Envy~』です。
制作の最初から方向が決まっていたわけではありません。
当初は嫉妬をエネルギーの強い感情として考え、Nu-DiscoやFunkのような、明るく身体が動く曲調も候補にしていました。
でも、自分が作りたい嫉妬とは少し違いました。
もっと暗くしたい。軽快な毒ではなく、内側から湧き上がる黒い感情にしたい。
そこから重く暗い方向へ振り、さらにメタル一辺倒にもせず、乾いた現代的なロックへ調整していきました。
短調、乾いたギター、切ったリズム、黒い感情。その結果できたのが『濁った影』です。
V1では、嫉妬はまだ誰か特定の人物の性格ではなく、自分の内側を濁らせる感情そのものでした。
V1の原罪シリーズ全体はこちらです。
V2――源頼朝からLeviが生まれた

V2では、嫉妬に具体的な人間関係を与えました。
元イメージにしたのは源頼朝です。
遠く離れた成功者ではなく、自分と血を分けた最も近い存在。愛情もあるのに、その近さゆえに比較から逃げられない。
そこから兄弟の愛憎と嫉妬を中心にした『骨肉ロカビリー』を作りました。
音楽は和楽器と50年代ロカビリーの組み合わせです。
三味線などの和の響きと、跳ねるロカビリー。さらにウッドベースを強く前に出しました。
現在のLeviの象徴になっているウッドベースも、この頃の音楽的な核からつながっています。
そして、兄弟の一方としてLeviが生まれました。
V1では自分の中にあった嫉妬が、V2では初めて誰かと自分を比べる人物になりました。
V2のMVはこちらです。
Leviは、上にいる人なら誰でも妬むわけではない
その後Leviを動かしていて、面白い特徴が見えてきました。
現段階のRexは、Leviから見ればほとんど天上人です。
絶対王者で、王宮を持ち、技術も権力も別格にいる。
嫉妬のキャラクターなら、一番気にしそうな相手にも見えます。
ところがLeviは、Rexにほとんど興味がありません。
配送の仕事で王宮に入っても、Rexを特別に意識していない。
その一方で、すぐ隣にいる普通の人間には引っかかります。
Leviの嫉妬は上下関係より、比較できる距離で発火する。
同じ場所にいる。同じ選択肢を前にしている。それなのに、自分にはできない選び方を相手が簡単にやっている。
そこに差を見つけると、Leviは気にせずにはいられません。
V2.5――焼き鳥屋の知らない客に勝手に引っかかる

V2.5で作った曲が、『Dealer’s Choice Jealousy ~任せられない夜~』です。
Sunoで『Dealer’s Choice Jealousy ~任せられない夜~』を聴く
この曲には怠惰のBelfとのつながりがありますが、Belfは焼き鳥屋にはいません。
飲みに行く時間を無駄だと判断して、先に帰っています。
Leviが店で気にしているのは、たまたま隣に座った名前も知らない客です。
その客はメニューを細かく比較しません。
店員へDealer’s choiceで任せ、そのまま出てきた焼き鳥を食べ、酒を飲む。
それだけです。
でもLeviには、それが妙に刺さります。
俺なら札を切るみたいに
値段も評判も
舌の先まで測る
俺なら味より先に負けた気分になる
なのにお前は
何も競ってない顔をするな
相手はLeviと競っていません。
そもそもLeviのことを気にしてすらいないはずです。
それでもLeviの中では比較が始まります。
選ばないことまで
お前の選択か
気に入らない
ここが現在のLeviらしいところです。
他人の持っている物が欲しいのではなく、自分にはできない在り方を目の前で見せられると比較せずにはいられない。
V2.5の原罪シリーズ全体はこちらです。
本人は嫉妬だと認めたくない
さらに面倒なのが、Levi本人はこの感情を素直に嫉妬とは呼ばないことです。
「うらやましい」とは言わない
ただ喉の奥で鳴るこのノイズ
名前を付けるならきっと
嫉妬じゃなくて意地だろう
嫉妬のキャラクターなのに、嫉妬だとは認めたくない。
だから比較をやめるのではなく、自分なりの理由を付けてまた比較します。
最後に隣の客が帰っても、Leviは残ります。
そして自分は、焼き加減、つまみ、酒をひとつずつ決める。
相手のようになるわけではありません。
結局、Leviは最後まで選び続けます。
なぜかXではLeviの反応がいい
このLevi、なぜかXでは原罪キャラクターの中でも反応がいい人物です。
理由を断定することはできません。
ただ、V2.5以降のLeviは原罪を象徴する大げさな人物でありながら、やっていることが妙に生活に近くなりました。
焼き鳥の注文で隣の客が気になる。
相手は何も競っていないのに、自分だけ勝手に比較している。
こういう小さな面倒くささは、壮大な兄弟争いより身近に感じられる部分なのかもしれません。
スピンオフ『遠すぎる』は、自分の実体験から作った

LeviはXで反応が良かったこともあり、V3ではありませんがスピンオフも作りました。
タイトルは『遠すぎる』です。
この曲は、Leviの設定から考えた物語ではありません。
元になったのは、自分自身の実体験です。
夏に旅行へ出かけたとき、家からかなり離れてから、鍵ちゃんとかけたっけな、と急に気になりました。
戻って確認するには遠い。でも、確認できないから頭の中では何度も同じ場面を巻き戻す。
その感覚をそのまま曲にしました。
誰に歌わせるか考えたとき、声も性格もLeviが一番合いそうだったので、彼を使いました。
音楽設計はNuevo Tango × Prog Rockです。
戻るには遠すぎる
信じるには曖昧すぎる
最後に触れたあの感触を
何度も 何度も 巻き戻している
作ったあとで振り返ると、これも妙にLeviに合っていました。
以前は他人と自分を比べていた人物が、今度は自分の記憶と現在の判断を何度も照合している。
これは制作時に狙った設定ではありません。
でも、後から見るとLeviの比較と検証の癖が、思わぬところでつながっています。
3回作って分かった――嫉妬は比較する癖になった
Leviの嫉妬は、制作を重ねる中でこう変わりました。
| 段階 | 嫉妬の中心 |
|---|---|
| V1 | 内側から湧き上がる黒い感情 |
| V2 | 最も近い兄弟と自分を比べる感情 |
| V2.5 | 同じ場所にいる他人の選び方まで比較してしまう癖 |
| スピンオフ | 自分の記憶や判断まで何度も検証してしまう性格 |
嫉妬を作り続けた結果、Leviは誰にでも嫉妬する人物にはなりませんでした。
遠すぎる相手には案外興味がない。
でも、自分と同じ場所にいる誰かとの差は気になる。
自分ならどうするか。相手はなぜそうしたのか。どちらが正しいのか。
嫉妬という原罪が、比較をやめられない人物の癖として日常に残った。
今のLeviを説明するなら、それが一番近いと思います。
ORIGINAL SIN / INTERACTIVE
あなたの中で「嫉妬」はどれくらい混ざっている?
Leviの「嫉妬」は、誰かをただ羨ましがる感情ではありません。
他人の位置、他人の選択、他人の基準が気になり、自分と比べずにはいられない感情です。
では、あなた自身が何かを選ぶとき、心ではどの罪が強く動き、
行動を整えたあとには、どの罪が混ざっているでしょうか。
12の選択から、傲慢・嫉妬・憤怒・大食・強欲・色欲・怠惰・虚栄の8つを、
「心の配合」と「行動の配合」に分けて読み解きます。
まとめ――天上人より、隣の席が気になる
V1では、嫉妬はただ黒く濁る感情でした。
V2では、源頼朝をイメージした兄弟関係からLeviが生まれました。
V2.5では、名前も知らない隣の客が注文を店員へ任せただけで、勝手に比較を始めます。
一方で、はるか上にいるRexにはほとんど興味がありません。
そしてスピンオフでは、自分の記憶まで疑って何度も巻き戻します。
Leviは嫉妬を克服したわけではありません。
嫉妬がもっと日常的で面倒な形に変わっただけです。
天上人より、隣の席が気になる。
そんなところが、今のLeviらしさなのだと思います。
原罪シリーズを続けて読む
前の原罪:強欲 / Monet

V2.5でつながる人物:怠惰 / Belf

Leviを例外として認識する人物:傲慢 / Rex

次の原罪:大食 / Beel




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