アニメMV(ミュージックビデオ)制作連載の特別編として、天体シリーズ『COSMOS The Lost Chronicles』の第2弾となる映像作品をご紹介します。
前回の楽曲制作チュートリアルや、ChatGPTを用いたキャラクター設定のノウハウを駆使し、本作ではどのような世界観を構築したのか。
本記事では、効率厨クリエイターとしての視点から、美しい土星を擬人化した本作のコンセプトと、AIツールを使った制作の裏側や秘密を余すところなく公開していくことにしましょう。

豆知識:土星ってどんな星?「空虚な依存」を描く心理プロファイリング
皆様は、土星という天体についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。
息を呑むほど美しいリング(環)を持つことで有名ですが、実はそのリングは無数の冷たい氷と岩の破片が衝突し合うデブリの帯にすぎません。
さらに巨大なガス惑星であり、人間が着陸できるような硬い地面(コア)が存在しないのです。
本作では、この天体的な特徴を「強すぎる引力で相手を引き寄せるが、受け止める底がない女性」の心理状態として擬人化しました。
誰でもいいから私の中を埋めてほしいと願い、来る者をすべて受け入れる従順さを持つ一方で、彼女自身には確固たる自我や軸がありません。
そのため、相手がどれだけ深く入り込んできても、関係を築き上げることができず、ただ分厚いガスの海をすり抜けて落ちていってしまう。
永遠にとどまってほしいと願っているのに、本人の意志とは裏腹にすべての関係が一過性のものになってしまう悲劇を、ヒリヒリとした歌詞とともに表現しました。
魅力的なキャラクター「サトゥルナ」とビジュアルの秘密
この重く空虚なテーマを視覚化するため、映像には「サトゥルナ」という女性キャラクターを登場させました。
彼女のビジュアルデザインには、惑星のメタファーを随所に仕込んでいます。
まず注目していただきたいのは、彼女の表情と瞳です。
口元は常に優しく相手を受け入れるように微笑んでいますが、その瞳にはハイライトが描かれておらず、焦点がどこか奥を突き抜けています。
優しさと同時に、目だけが「空っぽ」であることを示しているのです。
ファッションにおいても、カチッとした服ではなく、オーバーサイズで透け感のあるシアーシャツを着せることで、触れられそうなのにどこからが本心なのか分からない、分厚いガスのような曖昧さと無防備さを演出しました。
また、重力の異常さを示すために毛先をフワフワと浮遊させ、環を暗喩する大きめのフープピアスを身につけさせています。
Sunoプロンプト公開!BPM70が描く「終わらない落下」
音楽面においては、Suno AIを活用して、落ちていく感覚を音で表現することにこだわりました。
以下が、実際に使用したスタイルプロンプトの一部です。
- Style: Downtempo alternative rock, trip-hop elements, heavy descending bass, floating reverb piano, ethereal melancholic female vocal, slow groove, deep atmosphere, passive and empty vibe, Japanese lyrics, BPM 70, Key: F minor
- Exclude: upbeat, fast, screaming, acoustic guitar, brass, cheerful, aggressive
BPM70というスローなダウンテンポと、トリップホップの要素を取り入れました。
特にこだわったのは、コーラス部分で重低音のベースが下降していく(descending bass)サウンドです。
この音に合わせて映像のカメラワークも下へ下へと落ちていく演出を施しており、底なしの孤独へと沈んでいく絶望感を音と映像の完全なリンクで表現しています。
映像制作のこだわり:3人の男と終わらない落下
ミュージックビデオの映像表現において、AIツールを用いた最大の挑戦は「来る者を拒まない」という彼女の性格を視覚的にどう伝えるかという点でした。
そこで、映像内にはタイプの異なる3人の男性キャラクターを描き分け、彼女がいかに様々な引力に身を任せているかを暗示させています。
フォトリアル寄りの漆黒の宇宙や濁ったガスの海を背景に、男性たちが彼女の空虚な引力に吸い込まれ、永遠に着陸できないまま堕ちていくシーケンスは、本作のハイライトと言えるでしょう。
また、感情の起伏に合わせた細かなテロップ(歌詞)の入れ方にも徹底的にこだわり、映像への没入感を高めました。
▼ 底なしの孤独と空虚な引力を描く『Falling Through Saturn』フル視聴はこちら
まとめ:終わらない落下の中で、彼女の引力を体感してください
「綺麗だね」と褒められる完璧な幻影の裏側に隠された、底なしの孤独。
誰も着陸できない美しいSaturn(土星)という天体の残酷さを、音楽と映像で徹底的に表現したのが本作です。
AIの技術を駆使して描かれた、焦点の合わない彼女の瞳と、堕ちていく重低音のグルーヴ。
ぜひYouTubeでフルバージョンをご視聴いただき、空っぽの星へと吸い込まれていく感覚を、あなた自身の目で確かめてみてください。



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